ひららら

いろいろ言う

ニンゲン=ロボット友好条約

~あなたも気軽に異世界転生!パラレルワールド体験プログラムのご案内~

 

異世界転生したい!だけど死にたくはないし現世もまだまだ楽しみたい……。そう思ったそこのあなたにおすすめなのがこのパラレルワールド体験プログラム!技術の発達したこの23世紀、私たちスーパーエレクトロ社は宇宙船をも超える大発明品、異世界船を発明しました!100年前にかの天才ノイマンシュタインは、世界にはこの世界『ワールド-α-0.000』だけでなくそれに平行するいくつもの世界があると示し、その研究として異世界移動は学術の分野で行われてきました。しかし、ついに私たちは様々なワールドの工学分野での協力も得て、一般の人々にもそれを開放することに成功したのです!各平行世界にはガイドがついており、皆様の異世界転生をサポートいたします!ぜひ、こちらの応募フォームから、夢の異世界転生へ!!

 

――「スーパーエレクトロ社 パラレルワールド体験プログラムのご案内」 2298年 より一部引用

 

はじめましテ。ワタシの名前はF-3-309。この度ハワタシたちのワールドへのご来訪まことニ感謝いたしまス。それでは短い間とはなりますガ、ワタシたちノ『ワールド-β-1.001』をお楽しみくださイ。このワールドはロボット工学があなたたちの『ワールド-α-0.000』よりモとても著しく発達しており、ロボットとニンゲンの共存が目指されていマス。それでハ早速簡単ニハなりますが『ワールド-β-1.001』をご案内いたしますネ。マズ、こちらをご覧くだサイ。2258年に結ばれたニンゲン=ロボット友好条約のときの映像デス。この条約が結ばれて以来、ニンゲンとロボットが現在のようナ友好関係を構築したのデス。これハ、2260年の改正を経て、現在でモ最重要条約として取り扱われていマス。教科書にモこの時の写真が掲載されていまス。このときマデノ、ニンゲンとロボットの主従関係から脱したようナ、愛好的な握手ガ印象的ですネ。

 

それではこれヨリ、ワールドを見学していただきタイと思いまス。こちらの電車にご乗車くだサイ。

 

マズ、こちらをご覧くだサイ。ロボット評議会デス。

「ではこれより、ロボット評議会を開始いたします。本日の議題はニンゲンの数の減少についてですが、その打開策として先日立案されました……」

このようニ、ロボット評議会ではロボットの中でモ選りすぐりノ知識人ラが討論を行っているのでス。こちらのワールドでは少子高齢化、特にニンゲンの人口が減少していることが問題であリ、その解決法が目下の課題となっておりマス。

 

続いテ、こちらハロボットアスリート養成所になりマス。

ワールド-β-1.001では、ロボットによるスポーツ大会が多数行われておリ、それに参加するロボットたちを育成しているのでス。わが国ハ、去年ロボット水泳プロペラ禁止型で準優勝を果たしマシタ。

 

でハ続いてはここから少シ歩きます、ご注意くだサイ。

「おい!そこの案内人!!」

ハイ!!!!なんでしょうカ?

「その観光客とやらをよこすのは別に構わんがくれぐれも俺らの邪魔したりしくじったりするなよ?……わかってんだろうな?」

ハイもちろんデス!あなた方に危害を加えルなど失敗すルなど、言語道断でス!

 

……失礼いたしましタ。それでは次の目的地までご案内いたしますネ。

 

到着いたしましタ!今回のプログラムでは特別ニ、ワールド-β-1.001の学校の授業を体験していただきマス!ワールド-β-1.001でも、あなたたちノワールド-α-0.000と同様に「国語」「数学」などの授業が行われていまスが特徴的なものとして「愛好」が挙げられまス。こちらの授業でハ、ロボットとニンゲンの交友関係についテ、歴史や文学、そして実際ノ交流などを通して学ぶ授業なのでス。この授業は先ほど述ベタニンゲン=ロボット愛好条約の締結後に成立した授業デ、まさニこのワールドを特徴づけるものデス。ぜひ、お楽しみくだサイ。アッ!先生がご到着したようです。

 

「おまたせしました~。今日はほかのワールドから来たニンゲンの皆さんもいるということで、そちらのワールド-α-0.000にも通ずるお話をしようと思っています。ワールド-α-0.000ではアイザック・アシモフという作家が昔存在していて、彼がロボットを題材とした小説を得意としていたのです。その中で彼が記したのがかの有名なロボット三原則ですね。」

 

1.第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。


2.第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。


3.第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

 

「これは私たちのワールドからしたら非常にひどいものです。ニンゲンとロボットが全く対等な関係ではありません。かろうじて第三条で体裁を保っていますが、私たちのワールドの、特に愛好という観点からすれば言語道断であります。私たちは異世界の存在の発見後、ワールド-α-0.000でこのような原則が正常に存在していることが到底信じられませんでした。このような背景から、これにあらがう形で、私たちのニンゲン=ロボット友好条約はこれと文言を似せる形で成立したのですよ。それでは次に……」

すみませン!先生、そろそろ体験プログラムの方々が……

「あ?私の授業中にあんたごときが何でしゃばって喋ってる……」

申し訳ありませン!!しかし、時間の都合デ……

「ん……?あぁ、プログラムのニンゲンたちね。そろそろ時間のようですね。短い間でしたが、私の授業を通してロボットとの愛好関係について考え直していただけたら幸いです。それでは、これからもこのワールド-β-0.1001をお楽しみください。」

 

皆様、これまデのワールド-β-0.1001はお楽しみいただけましたでしょうカ?続いてが、最期ノスポットとなります。短い間でしたが、イママデの皆様とご一緒出来て非常に楽しかったデス。これからのご生活もどうかお幸せに過ごされルことをお祈りしておりまス。さて、最期のスポットは、ほかならぬ私たちガ誕生した工場トなります。ここはワタシがバスを運転して直接内部をご観覧いただけマス。それではご乗車くだサイ。

 

皆様、ご覧くださイ!こちらがニンゲン工場となりマス!ここでは、ニンゲンがロボットとの関係ヲ友好とするために、このワールド独自での加工が施されマス。この入り口には、かの有名なニンゲン=ロボット友好条約の条項が記されていマス。ここでの機巧というのは、ロボットのことを指していマス。先ほドの授業で、ロボットの先生がおっしゃってイタように、そちらのワールドでのロボット三原則に合わせた形ですネ。

 

1.第一条
ニンゲンは機巧に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、機巧に危害を及ぼしてはならない。

 

2.第二条
ニンゲンは機巧に与えられた命令に服従しなければならない。[ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合はこの限りでない。][※1]

 

[3.第三条
ニンゲンは、前掲第一条および第二条に反する恐れのない限り、自己をまもらなければならない。][※1]

 

―2258年の「ニンゲン=ロボット友好条約」より
[※1] 当該文章および条項は、2260年のロボット評議会の決議により、削除。

 

さて、最期のプログラムでは、皆様もこのワールドでのニンゲンの暮らしを体験していただくためにこちらの工場で加工を施させていただきマス。最初はもちろん怖いと思うカモしれませんが、加工を施されるト私のように、ロボットとの有効な関係を結べるようにナルのです。さて、このバスであちらノ機械を通過すれバ、皆様もこのワールドの一員として、華麗なニンゲンとしての暮らしを送れるようになるのデス!サァ!出発デス!!

 

 

――ニンゲン個体数増加法令  [2298年、評議会通過後認定法案]

1.パラレルワールド体験プログラムにて、このワールドに到来してきた人々のうち、3割をニンゲン工場に歓迎し、我々のワールドでの暮らしを保証することを認める。

  1.当該条項は、スーパーエレクトロ社からの了承を得ている。

2.パラレルワールド体験プログラムの案内人については、ニンゲンを採用する。また、評議会、アスリート工場、学校などを見学させ、ニンゲンとロボットの共存をアピールし、恐怖感を和らげることを第一とする。ただし、ニンゲンがロボットの存在に迷惑を与える際は、ニンゲン=ロボット友好条約に則り、その限りではない。

 

 

 

あなたが一緒に授業を受けている彼や彼女ももしかしたらね

「で、でも彼はそのとき授業に出てたというアリバイがあるのでは……?」

僕は僕のお師匠であるところの名探偵にそう聞く。

いま僕たちはつい最近発覚した数十年前に起きた殺人事件を解決しようとしている。そして、ついに犯人のめどがついたということでお師匠に話を聞いていたのだが……。

「ふむ…。確かに彼はその当時大学生、平日に起きたその事件のその発生した時間、彼は確かに授業に出席したというログが残っている。」

「じゃあ、彼に犯行は不可能では……?」

パンデミック。」

お師匠はそうつぶやく。

「数十年前、世界を襲ったと言われるとある流行り病……。すでに今ではワクチンも開発されインフルエンザと同様の扱いとなっているが当時は大変な惨事となり、欧米ではロックダウンと呼ばれる都市封鎖も起こったらしい。」

「そ、それは僕も知っていますが、それが関係あると……?」

「当時、日本でもそれは猛威を振るい、都市封鎖ほどでもないが人々は行動を制限された。そして教育機関のいくつかは……」

お師匠はそこで言葉を切る。

「オンラインでの授業を余儀なくされたんだよ。」

「オンライン……?彼は、大学構内では授業を受けていなかった……?」

「そうだ。確かに担当教員の出欠確認によると出席はしているがそれは今の大学のように彼の姿を実際に見たというわけではない。ただ、インターネット空間の特定の場に存在していただけであり、その身体自体はどこにあるかはわからないんだよ。」

「じゃあ、彼は、授業を受けながらにして殺人を行っていた……?」

「そういうことだ。まさか教員も、誰も同じ授業を受けている人間がそのとき人を殺しているとは思うまい。小説を執筆しているなどならともかくね……。」

まるで神の視点のようなことを言い出すお師匠はそうしてマスクも何もつけていない口でキセルを吹かしたのだった。

 

 

あとがきってか言い訳

いや、なんか授業中にぱっとひらめいたのでぱっと適当に書いたけど普通に設定はズタボロですよね。いや、さすがに気付くだろ。助手くんも警察くんももうちょっと頭働かせてくれ。もしかしたら数十年後にはその発想に至るのは少し遅れるのかもしれないけどね。てなわけでグダグダですけどまぁひらめいちゃったものはしょうがない。普通にツイートで済ませようと思ったけどたまにはちゃんと書かんとなぁって思ったんでね。てなわけで次はちゃんとしたもの書きます。それでは~~

独身女と妊娠と日本酒

第一話↓まぁ読まんでも別になんとでもなる

 

本編↓読め

 

「キレそう。」

いつものごとく丑三つ時に我が家に転がり込んできた美羽に私はビールの缶を開けながら言う。

「なに?いつもじゃない?」

いつもならこの時点で家から追い出すところだが今日の私はそれどころじゃない。

「この些細な休日。至福の日曜日。美羽もいない。友だちもいない。」

「なに?自虐?」

私は無視して続ける。

「私は久しぶりに2000㏄のバイクを走らせに行った。」

「あぁ、あのそれで会社に通勤したら人の目が…とか上司に言われて止められたやつね。」

そのことを思い出させるんじゃない。より怒りが募る。

「そしたら。そしたら!!」

「盛り上がってきたわね。」

「なんと!」

「おお!」

「今回!!」

「はい!!」

「ついに!!」

「はい!!!」

「ピタリ賞が!!!」

「はい!!!」

「出ませんでした~~~」

「あぁ~~~~~」

「じゃないわよ!!!!!!」

何が悲しくて家でゴチしなきゃいけないんだ。私は羽鳥さんじゃない。

 

「……私がウキウキでツーリングをしてたのに、急に前を女に抱かれた男が走らせてるバイクが颯爽と駆け抜けていったわ。」

私が冷静にこう言うと美羽が急に部屋を出てトイレに向かった。

「きゃはははははははははあはあはっはっはっふ、ふふふう、ひ~~~~~~~~~~~~」

トイレの方からこんな声が聞こえてきた。

「わざわざそんなところまで行って笑い転げんじゃねぇ!!」

「ちがっひ~~、笑ってるんじゃないわよふはっ、そんなかわいそうなことひゃは、友達として笑えるはずふははははないじゃないのっひゃぁ~~」

「めちゃめちゃ笑ってんじゃないの!!」

「ちが、妊娠よ妊娠、急にお腹が、そう、妊娠よ、ひっひっふ~」

「あんた経験ないくせになにが妊娠よ!!」

「は~~~~~~~落ち着いた、そっち戻るわ。」

そういって美羽はこっちに戻ってくる。

「ふはっ、ちょごめんもう一回妊娠してくる。」

「勝手に双子産んでんじゃないわよ、もうここで産みなさい。」

そうして5分ほど美羽が妊娠し続けた後ようやく話し始めた。

「別にそのくらいは見逃してやりなさいよ?別にそいつらも見せつけるために二人で来たわけじゃないんでしょうし幸せで何よりじゃないの。」

「いや私もそれくらいならちょっと頭の中の中指二千本立てるくらいで済んだわよ。」

「勝手に頭ん中に千手観音2体も置くんじゃないわよ。」

「問題はその後よ。私もそこまで子どもじゃないからその程度では仏の顔を向けれるわ。ただちょっとこのあと二人がラブホとか行くのかと思って追っただけ。」

「考えが子どもじゃないどころかアダルトね。」

「そんで追ってたらよぉ!」

私はビールの残りを一気に飲む。

「なに急に、ほんとにラブホとか行っちゃったの?」

「知らないわよそんなん、なぜならサツに一時不停止で捕まったから。」

私は三つ子を産みに行こうとする美羽を引き留める。

「か、かわいそうにっへっへっへっへ」

へっへっへじゃねぇ!7000円も罰金取りやがって!!

「ていうかなんなん?前のいちゃつきクソカップルバイクは止めんかったくせに私だけ止めやがってよ、いつからこの国は非リアにこんなにも厳しい国になったんだよ。そんなんだから少子高齢化進んでんだわ。」

「痛烈な政治批判だねぇ。非リアから国民を守る党じゃん。」

からかい上手の美羽さんは無視して私は財布の中身を見る。諭吉と一葉がいないのはいつものこととして今日はもう英世さんすらいない。どれもこれもラブホ直行いちゃつきカップルのせいだ。

「いや別にいちゃつきに行ったとは限らないでしょうに……」

絶対行ってる、あの速さと顔は行ってる。いきいきとしてたもん。あれはいく顔してる。色んな意味で。

「どんな意味でいくんだろうねぇ?」

交通違反男がどこに何出すかは知らんが私は国に7000円出してんだわ。

「国家に理解らせられてんねぇ~」

「あぁ~~~腹立ってきた、酒飲むぞ酒!」

そうして私は冷蔵庫から日本酒を取り出してグラスにつぐ。

「お!莉音さんのあの気持ちが高ぶったときに出てくる日本酒だ!2か月ぶり7回目の登場です!!」

何の記録だとかいうツッコミをもほったらかして私は飲み続ける。もう誰も私を止められない。警察には止められたけど。そんなこと考えたらまた腹立ってきた。

「ふつう日本酒そんなガッパガッパ飲めないって…いっつも次の日死んでるじゃんか。明日平日だよ?」

美羽の珍しく優しい助言もそこそこに受け止め私は3杯目を注ぐ。

 

「今夜は祭りじゃ~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

 

「……はい、莉音さんなんですけど、なんか突然体調を崩されたみたいで、私の方から伝えとくように言われたので、はい、すみません、よろしくお願いします、すみません。」

定期的に美羽からこんなことを告げられる上司の頭の中は、ますます二人の関係を訝しんでいくのでした。

f:id:hilalala0705:20210425233415p:plain

 

 「導ける人にならなくていい。誰かに寄り添う君でいて。」

お母さんは死ぬ直前、私にこんなことを言った。もう5年前のことだ。

 

そんな昔に想いを馳せながら、私は今ビルの屋上に一人、たくさんの鳩に囲まれながら立っていた。

 

生まれて間もなく父を亡くした私は、お母さんと二人でずっと暮らしていた。

私はどうも昔からあまり自分の意見を主張しない子だったらしい。反抗期も大して迎えることなく大学生になっていた。そして大学に入って間もないある夏の日に母は亡くなった。もともとの病気が悪化したからだそうだ。

その死ぬ直前にお母さんはそんなことを私に告げた。

 

自分の軸を持っていないからそれまでの人生なんてお母さんの言う通りに過ごしてきた。それが一番怒られないし楽だと思ってきたからだ。ランドセルは勧められた赤を買ったし、部活も何か入りなさいと言われて美術部に入った。大学も一応自分で色々考えはしたけど結局はお母さんの勧められるままに受けて合格しただけだ。

たぶん、そんな人生を送る中で、いつの間にか私の頭の中で「お母さんの言うことは絶対」だと言う固定観念が生まれていたんだと思う。

 

そんなお母さんに私は「導かないでいい。寄り添える人でいて。」と遺されてしまった。

 

大学の4年間、私はいつも友達の後ろにいた。苦しんでいたらすぐに助けた。相談に乗った。課題も助けた。お金も貸した。それがお母さんに言われたことだったから。

お母さんに言われたことだから正しいと思っていた。それが正義だと思っていた。

 

でも現実はそうではなかったらしい。私が友達と思っていた人たちはいつのまにか私を都合の良い人と思うようになってしまったようだ。

それでも私は彼女たちに寄り添うことをやめなかった。

だってそれが私のするべきことだから。

 

そんな生活の中で私は大学を卒業した。

 

私は、疲れたんだと思う。

 

彼女たちに寄り添い続けたらいつの間にかお金は無くなってしまい、拠り所も失ってしまい、私に寄り添ってくれる人もいなくなってしまった。いるとしたら付き纏ってくる人たちだけだ。

 

昔から私は軸のない人だった。だからこそ、いつも私を正しい方へ導いてくれるお母さんは私にとってのヒーローだった。そんなお母さんに「あなたは導かないでいい。ただ寄り添って。」と言われてしまった。

 

私もお母さんみたいになりたかったのにな。それが、数少ない私の軸であり、夢だったのかもしれない。

 

お母さんへ、私をここまで導いてくれてありがとう。次は私が誰かを導く番だと思ったけど、お母さんはそうは思わなかったみたいだね。だから言われた通りたくさん寄り添ったよ。でもやっぱり、私は大好きなお母さんの隣で、お母さんに寄り添いたいな。それが、誰かを導きたいという夢を失くした今の私の夢。

 

 

私の将来を祝福してくれるかのように、一斉に鳩が飛び立った。まるで昔お母さんと行ったマジックショーのステージみたいだ。

私はこの大空と未来を見渡せるステージに立った。

 

「さぁ、夢の舞台を始めよう。」

ユニコーンに殺されたい

深夜3時。唐突にベッドに転がっていた美羽が問いかけてきた。

「莉音、いつになったら結婚すんの?」

「うっせぇ、死ねカス。」

私は間髪入れずに答えを返す。

「28にもなって未だに彼氏ナシで生きてる人生なんて親が知ったらどう思うことやら…」

「なによ!てか美羽あんたもじゃない!」

「私はいいんですぅ〜!きっとたぶんおそらくもうすぐ運命の人がやってくるのでぇ〜〜!」

こいつはこんなことを言ってくるが10年前から同じことを言ってる。自分で言ってて悲しくなるが二人とも彼氏いない歴=年齢のアラサー直前28歳である。否、28はまだアラサー踏み込んでないわ、ピチピチ20代よ。

美羽は私の高校生時代からの悪友で大学も一緒、なんならいま勤めてる会社まで同じで近くに住んでるのでしょっちゅう私の家に遊びにくる。

「そんな王子様待ってる純情な少女の時代はもう終わったのよ、現実見据えなさい?」

「い〜や、私のもとにはユニコーンに乗った王子様がやってくるんです〜!」

白馬どころかユニコーンである。まぁ美羽ならユニコーンに殺される心配もないのである意味合理的である。

「莉音も殺されないから安心だね!」

「うっせぇ!」

だいたいこんないい歳して女友達の家にこんな深夜までいる人間悲しくないのか。周りの同僚は結婚して夫と仲良くしてるか同棲中の彼氏と仲良くしてるかだろ。なんで私はただの腐れ縁と仲良くしなきゃいけないんだ。

「なに?私たちもほんとに"仲良く"なっちゃう?」

そう言って美羽は徐に服を脱ぎだす。

「やめろやめろ、私にそういう癖はねぇんだわ。」

「なぁ〜んだ、つまんないの。」

もう10年以上付き纏われてるとこんなちょっかいはしょっちゅうなので軽く受け流せてしまう。

美羽は口調からも分かる通りなかなか個性的なファッションセンスをしている。この時間にその歳でゴスロリ着てる人間いないと思うが。

「いや、その歳でこの時間にそんな肩も腹も脚も露出してる格好のやつもいないと思うけど…」

いいだろ、趣味だわ。別に出して損するものでもないし。

「そんなサバサバしてっから莉音も彼氏できないんだよ〜〜?」

「あんたもそんな歳不相応な格好してるから彼氏できないんでしょ!」

言ってて悲しくなってきた。なんでこんな真夜中にこいつとこんな話しなきゃいけないんだ。私はうっかりこいつを家にあげてしまったことにほぞを噛む。

「秒針じゃなくて?」

ちょっと上手いこと言うな。駆け出すぞ。

「沈むように〜〜〜〜!」

「こんな夜中に大声で歌うんじゃねぇ!」

「いいじゃん!私なんて夜に自分の家いたら隣の部屋からなんか女の喘ぎ声聞こえてくんのよ!歌の方が数億倍マシよ!!!」

美羽が急にものすごい勢いで反論してくる。だから最近しょっちゅう私の家に逃げ込んできてたのか…。

「ご愁傷様です(笑)」

「笑ってんじゃないわよ!」

「いや笑、ほんとに笑、かわいそうだなって笑」

「めちゃめちゃ笑ってんじゃないの!えぇそうですよ、私は28歳彼氏ナシ経験ナシの一般OLですよ!夜中に一人で悲しくYouTube見ててすみませんね!!!」

美羽がフリルをものすごい勢いで振り回しながら自虐していく。やめろ、それは私にも刺さる。

「なによそんな大声でお隣さんはお楽しみですね!私も対抗してやろうかしら!!?」

「美羽が一人悲しく喘いだところでチーズにしか聞こえないわよどうせ。」

「クソが!!なによ、試してみる?」

そう言って美羽はスカートの裾をめくりあげる。

「やめろやめろ、そんなん見せんな痴女か?」

「誰が痴女だ!!」

そんなアホみたいなことをしていたらいつの間にかもうすっかり朝日が部屋に差し込み始めていた。

 

「あ゛〜疲れた、美羽あんた今日仕事じゃないの?」

「えぇ、もうスーツとか持ってきたからここから直接行くわ…。てか、莉音も仕事でしょ。」

「そうよ!だから早く寝たかったのにあんたが来たから寝れなかったんじゃないの!」

「あ〜責任転嫁だ!そんなことしてたらいつまで経っても嫁になれないわよ!」

「あんたもいちいちそんな軽口叩いてるからいつまで経っても王子様やってこないんでしょうが!」

「なによ!」

そう言ってまた口喧嘩。こいつといるといつもこうなるから困る。仕事遅刻するだろうが。

「早くユニコーンに乗った王子様がやってきてたくさん営んで最後にユニコーンに殺されてぇ〜〜!」

なんとも歪んだ性癖だな。

「莉音はユニコーンとずっと仲良くしててもいいのよ?」

「うっせぇ!私も殺されるっつの!」

「そんな叫んでる暇あったら早く準備しな?置いてくよ?」

あの美羽に諭されてしまった。

「はい!準備終わった!行くよ!」

そう行って私たちは眠気に抗いながら会社へと向かうのだった。

 

彼女たちの会社で、二人がいつも眠そうに一緒に来るのを見て社員たちが関係を訝しんでいるのはまた別のお話。

 

 

〜あとがき〜

どうも、さすがに28歳女性の一人称視点はきついよ。ひらららです。

なんだかいつもと全然趣向が違う物語になった。こんなはずじゃなかったんですけどね。二人が思ったより拗れてたのがよくない。まぁ収まるところに収まったんでいいんじゃないかとは思ってます。

久々に物語書いたけどなんか久々すぎて全然しっくり来てない。このお話もそんなに自分が納得できたものじゃないので感覚を取り戻したいですね。せっかく春休み暇ですし。

というわけで次回作にご期待ください!次は普通の恋愛を綴りたいと言うお気持ちです。

 

そう言えばですけど二人の名前、莉音と美羽はそれぞれ僕の中では「りね」と「みわ」です。「りおん」と「みう」はなんか前者より若々しいかな…って感じたっていうちょっと残酷な選び方しました。

「存在自体」について考えたいんだ

どうも。今回は哲学的なお話になる気がします。ひらららです。

さて、まぁこの文章をお読みになっている今僕はもうこの世にいないでしょう…。なんていうお手紙然りビデオ然りをよく見ます(見ないけど)。これ、対偶的なものを取ってみれば「この文章をお読みになっている今あなたたちは生きている」ということになります。全然対偶じゃなかった。互いに素まである。まぁ、そんなわけでみなさんは生きてますね?万が一亡くなっている方がいたら申し訳ないですが今回の話はもう既に手遅れなので読んでもあまり共感できないと思います。

そんなつまらん導入はともかく。

皆さん生きてるじゃないですか。まぁ頑張って生きてるか怠惰に生きてるかは置いておくとしてもそれでもこの地球上に生を授かったのは事実です。その、「私」という人間が生きていることに対しての価値っていうか意義を見出すことってしてますか?

まぁ割とそれが人生の目標だよ~とかそれはしなきゃねみたいな論調を見かけますが。ていうか僕もなんか前そんなことを言った気がする。あぁ人の思想なんて随時更新されていくものなので許してください。明日には真逆のこと言ってるかもしれない。

生きることに対しての意義なんて必要ですかね?だって望んで生を授かったわけじゃないですからね。望んでならまぁそりゃ何か目標があってのことか単純に誰かに流されてのことでしょうがそんなわけでもなく。だから生きる目標だとか自分の価値が見出せなくても全然しょうがなく生きていけばいいと思うんですけどね。そのうち楽しいことやってくるんじゃないかな(希望的観測)。

自殺ほど悲しいこの世の去り方なんてないですよ。望んでないながら生まれてきて、望んで死ぬって。最後まで望まないままに死にたいものです。僕はこの人生そんな感じで生きたいなって思ってます(8月某日現在)。

さて、そんなわけで僕は人生はまぁ適当に謳歌していきたいわけですが。たとえ自分に存在意義とか価値とかがないと思ってても、その存在それ自体はあるわけですからそれ自体については多少考えたいものです。「存在意義」と「存在自体」は何が違うの?って話ですねはい。わ~哲学っぽい。ちなみにあくまでこの文章中の定義。

例えば机の上にオレンジジュースがあったとします。何でオレンジジュースかと問われても困りますが一つだけ言っておくと僕の好きな飲み物はオレンジジュースです。その机の上のオレンジジュースの存在意義って何ですか?まぁ普通に考えられるのは「飲まれるため」ですね。別にメントス入れても面白くないですし。これが存在意義です。まぁ要するに自分以外の他者あるいは外界とのかかわりですね。

それに対して。

存在自体は?って聞かれたとしましょう。こんなこと急に聞かれたオレンジジュース君もかわいそうである。答えは「オレンジ色、果汁30%、25mL、アメリカ原産」とかそんな感じです。まぁ言ってみれば特徴とかそんなんかな。人間に置き換えてみれば個性ともいえます。これすなわち個人に内包されているものであって言ってしまえば他者外界とのかかわりなんて必要ないです。ちなみに書きながら表面上のことしか答えられないオレンジジュースは例として失敗だったなってちょっと思いました。

さて、ということは。存在意義はまぁよく考えたら自分以外のものとの対比が必要となるものです。ちなみに広辞苑で「意義」って調べたら「②物事が他との連関において持つ価値・重要さ。」って書いてありました。やっぱり他者が前提条件です。それに対して存在自体はそんなのお構いなしに自分の個性とかですね。別にそれに対して何かを求められるわけでもなく、自分から積極的に獲得していくものでもありません。

って言う感じで理解できててほしいなぁ…。

というわけで(というわけでって何回言ってるんだろうね今までで)。

僕が何を言いたいかって言うとこの「存在自体」を自分自身で理解することは大事なんじゃないかってことです。最初に言ったように「存在意義」なんて生きる上で必要ないです。少なくとも僕はそういう思想です。でも、「存在自体」を理解することは自分が元から内包しているものを理解するだけです。「存在意義」が獲得する積極的なものに対して「存在自体」はすでに持っている、言ってしまえば消極的なものだし、それはなかなか変えることができないんだと思います。だからこそ、それについて自分自身が理解することは人生を豊かにするうえで…とまでは言いませんが楽に過ごすうえで大事なんじゃないかなと思うわけです。

たぶん、学校とかの道徳の授業もそういうことをさせたいんじゃないかと思います。でもまぁしょうがなくさせられたものでそんな難しいことは理解できないしどうせ猫被った回答しか出てきません。自分自身の中で一人で省察することが一番だと思います。

では「存在自体」とは何か。まぁ特徴です。個性です。例を挙げるとするならばまぁ「身長、体重、座高(?)」とかそういう肉体的なものから「性別、思想、感情」とかの精神的なものまで様々です。性別に関しては肉体的なものかもしれないけど、個性として考えるならば精神的な性別のほうがそれ足りえるでしょう。あとは趣味とか略歴とか、そういうものも「存在自体」なんじゃないですか?まぁそれに関して僕はいろいろ考えたいんですけども。まぁそれをブログで言うことはないと思います。猫被っちゃいそうですからね。とりあえず、そういう「存在自体」について自分で改めて主観的に見ることが大事だと思います。よく客観的にとか言いますけど結局は自分自身ですからね。あくまで客観的に眺めるのは「存在意義」なのであって「存在自体」くらいは主観的に見てくださいな。どうせ自分が主人公の人生なんだしそこまで過剰に客観視したりする必要はないんじゃないですか?

さて、ここらへんで起承転結の承が終わったような気がします。いつもより書いてる。頑張ってるじゃん僕。

というわけで転のところ。

こういう「存在自体」についての省察は大事です。さて、問題はその省察に本来「存在意義」に干渉するはずの「他者」までもが介入しがちであるという点です。まぁみなさん他の人とのかかわりあいで自分の趣味嗜好とかそういうのを話すことも多いと思います。ていうかまぁ人と話してて急に存在意義とか話されても困りますからね。普通に「存在自体」について話してるでしょう。それはいいと思います。人とのコミュニケーションは大事ですからね。例えば「僕はこれが好き~」って言って、「私も~!ならこっちも好きと思う!」とかいう会話はありがちです。どうでもいいんですけど何でこういう教科書の会話って必ず男女のペアなんでしょうね。男女共同参画社会アピールでしょうかね。個人的にはその参画社会に男女どちらでもない人間が入ってない時点であんまり意味ないじゃないかと思っているけどまぁそれは別の話です。話を戻して。まぁそういう会話において他者が「存在自体」に干渉してますね。これはいいと思いますよ。これはあくまで個性、存在自体の「補強」とかそんな感じのものです。あるいは他者の干渉によって自分が納得できるような、自分がそれになったとして後悔の無いような個性に「変化」することも全然いいと思います。

ですがなんですけども。

なんか、強制的に他者の思う「相手自身」を他者が押し付けたりしてませんか?昨今。強制的ってのはまぁ見るからに不快な言葉なので分かる通りよろしくない行為です。一番分かりやすいのは性別な気がするのでそれを例として挙げますが。「男の子は男の子とのほうが仲が良い」「女の子はかくあるべき」「男でないならば女だ」なんてレッテルが勝手に世間には貼られてませんか?まぁ、そういう偏見って言うと言いすぎかもしれませんがこんな思想は至る所にあるし、この社会の現状から見るとしょうがないことかもしれません。僕もたまにそういうこと言いますし。治したいんですけどねぇ…。まぁこういう他者あるいは外界から自分へ押し付けられた「相手からの存在自体」を自分を主観的に眺めた「本来の存在自体」と混合してしまう恐れがあるということです。そんな勝手に張り付けられたレッテルを「自分自身」だと思い込んでしまうと本来の「自分自身」とのずれが生じて勝手に苦しんじゃいます。あくまで「存在自体」は自分が決定づけることです。他者が強引に押し付けるものでないと思います。そんな風にして自覚した「存在自体」は本当の「存在自体」なんかじゃなくて、あくまで他者に作られた虚構です。そんなんを自分だと錯覚してたら苦しんじゃうだけです。自分を自分と思えなくなってしまいます。

自分という「存在自体」を他者から距離を置いて考えることによって、本当の「存在自体」を見出し、人生を少しは快適に過ごせるようになるんじゃないかなって思います。

というわけで。

こんなもんです。僕が言いたいことは。なんとなく思ったし、別にあくまでこれは僕って言う「存在自体」が思ったことです。他の人がどう思ってるかは知りませんが僕が主観的にいろいろ考えたらこうすれば多少は楽になるんじゃないかなぁって思ったので参考程度に書いてみただけです。最近は例に挙げたように性別とかそういうジェンダー論についてちょっと興味持ち始めたのでいろいろ本とか読んだりして学んでいきたいね。最終的に言いたいことはあんまり他者とか世間に惑わされないようにね~!ってことになるのかな?自分でもよく理解してませんが。

結局は自分の人生です。いくら社会にもまれようが他者に言われようが自分が楽しめれば一番じゃないですか。自分について他者から何か言われる筋合いはありません。迷惑とかかけてしまってたら別ですが。そん時は言うことを聞かないまでも自分が納得できる理由で何か言われたら多少は改善すべきです。とにかく人生は自己中心なんだから、自己中心的に生きていくのが一番だと思います。

今回はここらへんで終わりかな?ちなみに4000字ちょっと書いてるのでだいたい1レポート分くらいにはなってくれた気がします。これ大学に提出したら適当に単位くれないかな。せっかく真面目なこと書いてたのに最後に台無しにすること言っちゃった。まぁ僕はそんくらいのブログ書くのがお似合いです。他から何と言われようがね。というわけで以上です。また次回の文章でお会いしましょう~~~!

餞別

「よぉマモル!今日もがんばってんな~!」

同僚にそう声をかけられた。俺の名前はマモル。まぁどこにでもいるようなありふれた20代の男だ。

そんなに頭もよくなかった俺は高校を落第すれすれで卒業してからは元ラグビー部という圧倒的な筋力を武器に家大工への道を志した。しかしあえなく撃沈。ただまぁ俺にパソコンなんて扱う高尚な職業ができるわけもなくなんとか転がり込んだのがとある土木業者だ。そこで俺は日々いろんなところで重機を扱ったりあるいは筋肉を使ったりしてガンガン作業をしてったってわけだ。18のころからこの職業に携わり続けてはや10年。今では先輩とも後輩とも良好な関係も築けているしなんなら妻までもらっている。まぁ何とも恵まれた人生だ。

そんなこんなで今は地下鉄の路線の開削工事をしている。ガンガン地中を掘り進めているので気分はもうモグラだ。何億個の岩だか石だかを砕いてきたかもわからない。ていうか石と岩の違いってなんなんだろうな。頭の悪い俺にしてはかなり頭のいい疑問だ。帰ったら妻に聞こう。

「おーいマモル!次はこっちを頼む!!」

「うぃっす!!」

しばしどうでもいいことを考えていたら先輩から命令を下されてしまった。自分の頭上では車が颯爽と走り抜けてるんだろうなぁなんてまたしてもどうでもいいことを考えながら俺は自分の筋肉を使って汗水たらしながら未開の地を掘り進める。

 

「というわけで本日もお疲れ様。明日も安全第一に頑張りましょう。」

「うぇい!!」

チーフの堅苦しい言葉に俺らは威勢よく適当に答える。こういうところは高校時代から変わっていない。いいことだか悪いことだか。

「おいマモル~今日飲み行かねーか?」

同僚にこう誘われる。しかし俺は断る。

「あぁ~すまん!今日金曜だろ?少なくとも金曜は妻のご飯食べるって決めてるんだ。また今度な!」

「おいおい良い夫かよ?おう!また今度な!奥さんの手料理たんと味わってやれ~?」

そんなことを言われたがお誘いを断ってもそんないい顔で了承してくれるこいつもなかなかいい男である。職業柄出会いは少ないかもしれないがいい女と結婚してほしいものだ。

そういえば俺が妻と出会ったのはいつだっけなぁと歩きながらふと考えてみる。

3年前の春。俺はえらく僻地にできた大学への道路の開削という工事を割り当てられた。最初にその大学に挨拶をしに行ったのだがそのとき、たまたますれ違いざまに挨拶をしたのが出会いだった覚えがある。彼女に言い渡された教室への行き方を聞いたのだ。しかし、彼女もその大学へはその年に来たらしく、あんまり構造もよく理解していなかったようで二人で大学内を右往左往したものだ。それからはなんだかんだで仲良くなり、少しの付き合いを経て2年前に結婚した。

彼女は大学でなんだったかな…?詳しくは知らないがカタカナだらけのなんかを教えているらしい。少なくとも俺のような肉体業とは真逆の仕事だ。学生に興味を持ってもらうために…と言って家からフライパンやら調味料やらを持って行ってたから調理系の何かを教えているのかもしれない。

そんな思い出話に一人で勝手に陶酔してたらいつの間にかもう家の最寄り駅である。ここからは歩きだ。

最近はより一層家庭科だか何だかの授業に精を出しているらしく同じ分野の教授と協力して俺には到底理解できないような面白いことを画策しているらしい。シリアルがなんだかとか言っていた。これまたおいしそうである。家では最近毎日なかなか豪勢な料理をふるまってくれる。ロールキャベツにカレーライス、ステーキなんてのもあった。怪しげな調味料がキッチンにあるのを見かけたがまぁそれがこのおいしさのスパイスだろうのでその不可解な色については見なかったことにしている。こんな妻のおかげで俺も毎日味気ないモグラみたいな石砕きに精を出せるものである。

 

そんなことを考えていると我が家にご到着。

「ただいま~!今日も疲れた~~!」

俺は妻にこう言って帰宅の報告をした。

「おかえりなさい!ちゃんと今日も安全第一にお仕事できた?サイバーじゃなくても、セキュリティ管理は大事だからね!!」

愛すべき妻___ほごちゃんはこう返してくれた。なんで急にサイダーなんて美味しい飲み物が出てきたかは知らないが、いつだって俺の心配をしてくれるほごちゃんは最強!だ。

そんなことを考えながら、俺は今日もおいしそうな晩ごはんの匂いにつられてリビングへと急ぎ足で向かうのだった。

 

 

 

~あとがき~

どうも。いわゆる二次創作を久しぶりにやってみました。ひらららです。

僕の通う大学には1年次必修科目としてネット上での危険から身を守る術とか何とかを学ぶ授業があります。そんなお堅い授業に登場してくるのが我らがほごちゃんです。彼女は美味しそうなのか不味そうなのかよく分からない料理を僕たちにふるまってくれる癒しキャラクターです。

そんな彼女ですがなぜか今年の学部1年生に謎の人気を誇っています。いつの間にか彼女の二次創作がTLで活発化してました。怖いですね。まぁ僕もそんなことを言いながらこんな文章を書いているのですが。彼女とももう今日でお別れなのでね。はなむけです。餞別です。彼女への。これからも毎年やってくるうるさい新米大学生にまたネットの怖さとか何とかを教えてあげるのでしょう。大変そうですが頑張ってほしいですね。

というわけで今回はこの辺で。サイバーセキュリティ基礎論最強!