ひららら

いろいろ言う

花火

〜まえがき〜

どうも。まえがきって初めて書きますね。ひらららです。まぁまえがきから書き始めたからと言って特に何かあるわけでもないです。いつも通り普通の小説です。でも久しぶりに書くので書き方忘れてるかもしれません。ていうか普通のブログも書きたい。最近物語ばっかな気がする。さて、今回は短編集です。まぁいつも短編なのでそれより短い物語たちをいくつか書きたいと思ってます。タイトル通りどれも花火を背景とした物語になる予定です。少なくともプロットではそうなりました。

僕は後日談って言うのが物語の中でとても好きです。エピローグとかね。あと前日譚も同様。だから、自分の物語にもそういうのを書きたいなって思いました。というわけで久しぶりにうちの子たちに登場してもらいました。どうぞ、彼らのそれぞれの物語をよければもう一度思い返してからこの短編たちを読んであげてくださいな。それでは。彼らのその後、あるいはそれ以前をお楽しみください!

 

 

〈結城さんと佐倉くんの場合〉

花火なんて大好きだ。

全く、あの夏の風物詩。最高だ。毎年毎年課題は8月24日に慌ててやる私だけど(最近は夏休み31日までじゃないんだよ?ひどくない??)、花火大会だけは欠かさず行っている。家族とでも友達とでも、一緒に花火を見て感動する、なんて素晴らしい夏なのだろう。それは無事高校生となった今でも変わらない。

それに!今年は大好きな人と一緒に見れる予定なんだ!

そして今日がその花火大会の日。

佐倉くん、ちゃんと浴衣着て来てくれるかなぁ…。

 

というわけで待ち合わせ時間の5分前。

私は家で優雅に着こなしてきた浴衣姿で待ち合わせの公園のベンチに座っていた。…訂正。優雅には着こなせなかった。お母さんに頑張ってもらいました。ありがとうございます。来年までには自分で着れるようにしたいです。

そんな反省をしているうちに。

「お待たせ、ごめんね待った?」

かっこいい声がする。私は緊張しながら振り向く。

「ううん、ぜんぜぜぜぜぜぜぜぜんんんんん待ってななななないけど????どど???」

私はかわいらしく可憐に振り向こうとするもあまりの佐倉くんのかっこよさとかわいさに自分を制御できない。嘘でしょ。なんでそんなに似合ってるの。私泣いちゃう。

「…大丈夫?」

「だ、だいじょうぶ……。浴衣、似合ってるね。」

「そう?こういうの着るのたぶん小学生以来とかだけど似合ってるのならよかった!結城さんもとっても可愛くなってるよ!」

は〜〜私はなんで幸せ者なんだ。こんな可愛い子に可愛いと言われてしまった。私の魂が打ち上げられてしまう。

「それじゃ、行こっか。」

「うん!」

私はそう返事して、佐倉くんの横を歩く。

 

さて、私と佐倉くんはまぁ卒業式の日からいわゆるお付き合いというものをしているのですが。高校は違えども、途中までは一緒の道だから朝はそこまで一緒に行って、帰りも時間が合えばそこで待ち合わせして帰るのですが。付き合って早数ヶ月、いまだに手を繋いだことがありません。ほんとに付き合ってるの?って友達にも言われました。友達には彼氏ができたことは秘密にしてたのですがなぜかバレました。顔には出にくいと思っているのになんでだろうね。ってまぁそんなことはどうでもよくて!とにかく私は手を繋ぎたい!今日の目標は花火を一緒に楽しんでそして手を繋ぐこと!!

 

「わぁ〜綺麗だねぇ。」

「ねぇ、とっても綺麗、わ!すごい大きい!」

ま、まぁ第一目標は一緒に花火を見ることだから?というわけで私はイカ焼きを、佐倉くんはりんご飴を片手に座って盛大に打ち上げられている花火を見ている。私もりんご飴とかいう可愛いものにしたかったけど食欲には勝てなかった。イカ焼き最高。ちなみに私は花火と同じくらいちびちびとりんご飴を食べている佐倉くんに夢中になっている。かわいいね。

「ねぇ、結城さん。」

「ん〜?」

私は二つのものに夢中になっていたのでついつい返答が適当になってしまう。

「少し歩こうよ。」

「え、でもまだ花火終わってないよ?」

「歩きながらでも見れるから、さ。」

へぇ。佐倉くんがこうまでお願いしてくるのは珍しい。たまに二人でお出かけするけど基本的に私が振り回しているからかもしれない。

「ん。いいよ!ただこのイカ焼きを食べてからね!」

食欲全開。私の高校に入ってからの座右の銘だ。ちなみに体重は……って誰が言うか!

 

さて、そんなこんなで私たちは花火を眺めながらのはほんと歩いています。私は花火をぼーっと眺めています。もちろん佐倉くんの側にある左手は常に開放状態。いつでもばっちこい!

とか思っていたら。

「ねぇ結城さん。」

「んー?」

私は首を花火から佐倉くんの方へと向ける。

「花火ってさ、儚いよね。とっても綺麗な姿を見せてくれたあと、そそくさと消えてっちゃう。」

そんな文学的なことを告げられる。私には到底思い浮かばない表現だ。ちなみに聞くところによると国語の期末考査は80点だったらしい。ちなみに私は48点だった。悲しい。佐倉くんは話を続ける。

「思ったんだ。今はたとえ元気でも花火みたいに何でも、儚く消えていっちゃうのかなって。」

「そ、そんな悲しいこと言わないでよ…。」

私は佐倉くんと一緒にいたいんだから。

「もしかしたら、結城さんもいなくなっちゃうかもしれない。」

「そ、そんなことない!わ、私はず、ずっと隣にいるから…。」

柄にも無いことを言ってしまう。恥ずかしいなぁ。

「そう?でも心配だなぁ。」

そう言って佐倉くんは微笑みながらそっと私の手を握ってきた。

 

………え?

「心配だから、逃げないように捕まえとくんだよ。」

そう言いながら佐倉くんはその真っ赤な顔を隠すように花火の方に顔を逸らす。かわいいじゃん。

「そう?じゃあ私も佐倉くんが逃げないように捕まえとこっかな!」

私も佐倉くんの手を握り返す。かわいいとは言いつつもやっぱり男の子だ。手が大きい。そして私も花火の方へと顔を向ける。

「花火、綺麗だね。」

そう私が言うと佐倉くんは答える。

「うん、とっても綺麗。でも俺的には結城さんの方がとっても綺麗だけどね?」

佐倉くんは微笑みながらこっちを向いてくる。もう顔は赤くなかった。かわりに私の顔のほうにその赤さは移ってきたらしい。

「い、いや!花火には勝てない!」

そう私が慌てながら答えると佐倉くんはまた微笑む。かわいい。

そんなことを話しながら私たちは、手を繋ぎながら夜の空に咲く満開の花火を満喫したのでした。

 

 

あっ!あともう一つ言い忘れてた!この花火大会の後、私たちは学校に行くまでの道は毎日手を繋ぐようになりました!どっか行っちゃったら困るからね!それでは!

 

 

〈叶くんの場合〉

さて、一応夏休みらしい。

と言っても、家から出ずに授業はパソコンの中だけで行われるんだからずっと夏休みみたいなもんだったけどな。相変わらず世界はウイルスに翻弄されまくり。俺も二次関数でいかに撃退するか考えてみたけどイマイチ上手くいかない。あたりまえだ。最近は三角比も習ったのでそっちの線から考えている。

まぁ、こんな状況だから当然毎年のように打ち上げられていた花火も今年は中止らしい。普段はめんどくさいので見に行かなかったがいざ無いとなるとやはり少し寂しいものがある。

ん?この前の見ず知らずの女子との関係?そんなの何の進展もなし。あれ以来みんなもパソコンの扱いに慣れてきたのか、だれも事故することなく授業は進んでる。少なくとも俺が起きてる間は。だからあれ以来あの女子の顔も見れずじまいだ。だからと言って好きな気持ちが薄れたわけじゃ無いけどな。

はあ…。もし、もしも今ウイルスが蔓延していなくて普通に学校へ登校することができていたら。彼女とも仲良くなれていたのかなぁ。もう数百回はこんな妄想を繰り広げている。家に閉じこもってると暇なんだからしょうがない。

彼女と仲良くなれてたら花火大会ももしかしたら二人で行けていたのかもしれない。そして、二人でチョコバナナとかりんご飴とか屋台を冷やかしながら、河川敷に座って綺麗な花火を眺められたのかもしれない。きっと綺麗な花火を見る彼女もとても綺麗なんだろう。浴衣姿の彼女はとても愛らしくて、でも少し大人なそんな姿なんだろう。そして花火を見て彼女は綺麗だね〜とか言いながら微笑むんだ。そして、そしてあわよくばその帰りにでも俺が告白して…。

なんて、なるわけないか。それでもせっかく会えないんだから夢だけでも見させてほしい。最近、化学の授業で先生が言ってた気がする。花火の色は炎色反応とやらによって生まれたりするらしい。そんな化学の知識が花火程度に役立てられるのなら、俺の数学や現代社会の知識もウイルス撲滅に役立てることができるんじゃないかな。そう考えるとまたやる気が出てきた。

俺は机に向かって真面目に考える。三角比と日本国憲法を使って、なんとかしてウイルスを消し去れないものか。そして、いつか彼女と花火を見に行けるようになった時に言うんだ。

「この花火なんかより、君のほうが数百倍綺麗だよ。」

って。

 

…いや、やっぱり無し。ダサい気がする。俺は三角比と日本国憲法を一旦端に追いやって花火大会用のもっと粋な告白フレーズを考える。

あぁ、早く会いたいなぁ。そんなことを考える引きこもりの夏。俺の頭の中には満開の花火がいくつも咲き誇っていた。

 

 

〈丈くんと美波ちゃんの場合〉

今年の夏は暑い。我が家でもエアコンはフル稼働だ。ん…って思ったら何故か消されている。暑いんだからエアコンはつけるべき。リモコンを手に取って電源ボタンを押そうとしたそのとき。

「な・に・を・し・て・る・の・か・な・?」

背後から女の声が。俺は少しずつ振り返って答える。

「い、いや美波さん……。少し暑いので冷房をば…ね?」

「そんなことしてたら電気代がとんでもないことになるでしょ!丈くんも扇風機で我慢する!」

俺と美波はいま大学3年生。高校の頃から付き合っていたが晴れて今年の春から同棲する運びとなったのだが、昔の美波はこんなに強い口調でものを言わなかったが大学に入ってからサークルの影響か、少し元気に話すようになった。おかげで俺はこの数ヶ月怒られてばっかりだ。

「はい…ごめんなさい……。」

そう言って俺は美波の隣に座って扇風機の風を浴びる。手を繋ぐ。

「ど、どうして手まで…。」

美波は顔を赤らめて言う。こういう少しのことで口下手になって照れるようなところは高校時代と変わってないんだけどな。かわいい。

「いいじゃん、繋ぎたくなったの〜。」

俺は適当にはぐらかして手をより握る。美波も握り返してくれたようでよかった。

「それはそうと今日の夜花火大会が近くであるらしいよ?」

俺は言う。昨日サークルの友達から言われたのを思い出したのだ。

「あ〜それ聞いた私も。…一緒に行く?」

美波は躊躇いがちに聞いてくる。

「ん〜ちゃんと公園に行ってみるのもいいけど、」

「けど?」

「ここから見えるらしいから、二人だけでここでのんびり見ないか?」

俺は提案する。二人だけでいたかったっていうのと外は暑いからって理由だ。

「ん〜、いいと思う。外は暑いからね。」

美波も俺と同じことを言う。だったらエアコンつけてもいいんじゃ…ということは言わずに俺は言う。

「よし!じゃあ夜に備えてお酒とおつまみ買いに行くぞ〜!」

俺は繋いだ手を一気に持ち上げて美波と一緒にスーパーへと行く気持ちを固めた。しかし。

「今バイトもそこまでしてないんだからそんなお金ないでしょ?今あるビールと枝豆で我慢しときなさい?」

「はい…」

俺は再び扇風機の前へと戻る。しばらく美波と手を繋いだままひたすら風を浴び続けた。

 

そんなこんなで夜。

花火が上がる。

「わ〜綺麗!」

さすがの美波も花火には感動するようで、いつになくはしゃいでいる。

「ふっ花火よりもお前の方が綺麗だぜ。」

俺はイケボでこんなことを言うも無視される。5年も付き合ってきたらこうもなってしまうのか。まぁ信頼の無言ということにして俺はビールを飲む。

「そういえば、花火二人で見るのって初めてか?」

俺は聞く。

「確かに、今までは日にちが合わなかったり雨で中止になったりでなんだかんだ見れなかったね。」

美波は続けて言う。

「でも、今二人きりで花火見れて、とっても幸せだよ。」

…………。そんなことを言われるなんて、俺のほうが幸せである。俺はおもむろに美波を抱きしめる。

「えっえっちょっと……。」

美波はとたんに慌てて静かになる。全く、そういうところは昔から変わってないんだからかわいい。

「俺も幸せだよ。好き。これからもよろしくね。」

俺は美波を抱きしめながらそんなことを言う。

「…………。うん、私も。よろしくね。」

二人きりの部屋の中で俺と美波はその後もずっと手を繋ぎながら夜空の大輪の花を眺めていた。

 

 

「ちょっと!なんでビール3本も開けてるのよ!2本までって言ったでしょ!?」

「ごめんなさい…。」

翌朝、起きて5秒後にこんな会話をしたのは秘密である。

 

 

〈ハルメナとキルックの場合〉

これはハルメナ姫とキルック公爵が結婚する少し前のお話。まだ二人は交際という関係にありました。キルックは姫に会うためにお城を訪れました。

「ハルメナ、やあ。」

「キルック様!お待ちしておりましたわ!ちょうどいらっしゃる頃だと思ってましたの!」

ハルメナはそう言って続ける。

「今日は城の庭に珍しいお花が咲いたと付き添いから聞きましたの。一緒にご覧になりませんか?」

「おお、ぜひ見たいな。」

そう言って二人はハルメナの部屋から出て庭へと向かう。

「そういえば、ハルメナの部屋以外で二人でいるのって珍しいな。いつもはずっとハルメナの部屋に閉じ込められてるのに。」

「だって、二人きりでいたいですもの。」

「そう言ってくれると嬉しいなぁ。」

キルックはそういって微笑む。そんなことを話しながら庭へと到着する。

「紹介致しますわ、こちらが我が城の庭師さん。」

「はじめまして、ハルメナ姫とお付き合いしておりますキルックと申します。それで、珍しい花、というのは…。」

キルックはその知的好奇心を抑えられない様子で庭師に聞く。

「ああ、それでしたらこちらです。一般には「花火」と呼ばれている品種でごさいます。」

「ほう。花に火か…。なかなか面白い名前ですね。」

キルックは興味深そうにその花を眺める。

「私が先ほど調べたのでご紹介致しますわ。」

ハルメナが説明を引き継ぐ。

「こちらの「花火」ですが、数百年に一度、とある花の突然変異で生まれてくる花でして、その大きな特徴は名前からもお分かりのとおり火を出すことにありますの。なんでもこの花は枯れるときに、萎れるのではなく燃えてなくなるらしいのですわ。その美しさから花言葉は「燃え盛る愛」「情熱の愛」「永遠の愛」であり、その燃える様子を目にしたカップルは永遠に結ばれるらしいのですわ!」

「ほう…教えてくれてありがとう。ぜひ、私とハルメナでこの花が燃え盛るところを見たいものだな。」

キルックは微笑みながら言う。

「ええ!ぜひ!」

ハルメナも笑顔で答える。

キルックはその後ろで恐々とする庭師に気づくことはできなかった。

 

数日後。キルックが家で仕事をしていた時。

「失礼します。キルック様はいらっしゃいませんか!?」

慌てた様子で城の送迎係の者がドアを叩く。

「はい、いますが…。」

「ハルメナ様からすぐにいらしてくださいとの要望が…。」

「なるほど。了解した。」

そう言ってキルックはすぐに馬車へと乗り込んで城へと向かう。

「ハルメナすまない待たせた、それで用件は?」

キルックは城に着くと足早にハルメナの部屋に入って聞く。

「キルック様!よくぞいらっしゃいました!急いで庭へ向かいましょう!」

ハルメナはそう言ってキルックの手を取りながら急いで庭へと向かう。

「待て、どうして庭なんだ。」

「花火が燃えようとしているのです!ぜひ見なければ!永遠の愛を!」

そう答えたとき、ちょうど二人は庭へとたどり着いた。

「庭師!花火はまだ燃えてませんか?」

ハルメナは厳しい口調で庭師に問う。

「は、はい!間もなくだと思われます!」

そう庭師が言ったそのとき。花火は急に燃えだした。それはとても鮮やかで見る者全てを魅了するほどであった。

「まぁ!なんて綺麗ですの!」

「あぁ……とても美しい。こんなものを見たら、それは当然カップルも結ばれることだろう。もちろん、我々も。」

「キルック様…とても、光栄ですわ。」

そう言ってハルメナとキルックは美しくその生涯を終えようとする花火を眺め続けた。

 

その数ヶ月後、二人は無事結婚し、永遠の愛を誓い合うこととなったがそれはまた別のお話。

 

 

 

庭師は苦悩していた。ハルメナ姫から「花火」という超希少種の花の交配を依頼されたのだ。

「私とキルック様の愛のために必要不可欠なのです。どうか、よろしく。」

庭師は知っていた。この城で、ハルメナ姫のご期待に添えなかったものは人知れず処刑されていくことを…。それ以来、庭師は「花火」の研究に明け暮れ2ヶ月の時を経てついにその交配に成功した。

「ハルメナ様!遅くなって申し訳ありません!「花火」です!完成しました!!」

庭師はハルメナ姫に報告する。

「よくやったわ!すぐにキルック様をお呼びいたしますので庭師はいまからこの庭を綺麗にしなさい!汚すぎますわ!」

庭師はこの2ヶ月間、花火の研究に必死で庭の管理を怠っていたのである。

庭師はそこからキルックが来るまでの2時間ほとで庭をできるだけ綺麗にして二人を迎えた。

そしてキルックが帰った後。

「庭師!」

「は、はい!」

庭師はハルメナに呼び寄せられた。

「まあまだ見せられるくらいの庭になったことは評価いたしますわ。しかしそれでもまだ杜撰です。キルック様にお見せするのですからもうちょっと綺麗にしてください。それと花火が燃える兆候が見えたらすぐ私に知らせるように。」

それだけ言うとハルメナは自室へと帰っていった。

 

数日後。

庭師は庭を2ヶ月前とほぼ同じように復元していた。それに満足していたその時。花火から少し火花が飛び出た。これが花火の枯れる兆候である。庭師はハルメナに急いで連絡した。

そしてハルメナとキルックが花火を前に永遠の愛を確認し合った後。

またも庭師はハルメナに呼び出された。

「な、なんでしょう…?」

すでに庭師はここ数日の庭の整備で疲労困憊しており、さらにハルメナへの恐怖でいっぱいだった。

「あなた、私とキルック様が花火の燃えるところを見ている時、一緒にそれを見ていましたよね?」

「え?は、はい…。たいそう美しかったですが…。」

「それではいけませんわ!私とキルック様の愛が庭師に邪魔されてしまうかもしれません!あの燃える様を見たのは私とキルック様だけにしなければなりませんの!」

「え…?」

庭師は困惑する。

「というわけで庭師、あなたは今からいなくなってもらいますわ。さようなら。」

庭師は答えることができなかった。いつの間にか背後にいた兵に首を切られたからだ。

 

ハルメナとキルックが結婚するのはそれから数ヶ月後のことであったが、その頃には庭師の存在など誰の頭からも消え去っていた。

 

 

 

「花火」の花言葉はその枯れる時に燃えるといつ特徴から「燃え盛る愛」「情熱の愛」「永遠の愛」と言われる。また、その燃える時の激しさから「行き過ぎた愛」という花言葉も持っている。 【β国の論文より引用】

 

 

 

〜あとがき〜

どうも。まえがきぶりですね。ひらららです。お楽しみいただけましたか?結構長さにばらつきはありますけどまぁ大体全部2000字いかないくらいな気がするので短編でしょう。どれが好きでした?個人的にはやっぱり僕が一番愛着を持ってるのが結城さんと佐倉くんなのでそれが好きです。みんな好きですけどね。ハルメナ姫も怖いなぁとは思いますけど僕の創り出した人なので愛着はあります。

まぁというわけで僕は今までのうちの子たちもたまには復活させたいなって思ってるので是非是非楽しみにしておいてください。まえがきも書いたので今回は短めにここら辺で!では!

 

あ、ちょっとだけ裏話を。ハルメナ姫たちの時代に花火は無いだろうなぁと思ったので少し違う花火にしました。あの世界はもともとファンタジー感があるのでちょうどいいんじゃないかと思います。相変わらず姫は怖いですけどね……。

それと丈くんと美波ちゃんは前作から結構時が経った時を舞台にしたのでかなり仲良くなってます。僕も二人が幸せそうで安心しました。二人は僕の初めてのオリジナル人物たちなので思い入れも深いので……。